Special blend tea








前を歩いていた上忍が立ち止まって言う。

「どこまでついてくる気かな〜?サスケくん」

サスケは急にかけられた声にさほど驚かず、やっぱりばれてたか、と思った。
いつから気づいていたのだろうか。
気配はそれなりに消していたつもりだったけど。
なんとなく自分自身に腹が立ち、舌打ちをする。

「別にあんたについてきてるわけじゃない」
くやしまぎれにそう言おうとして、我ながら説得力のないことに気づき、唇をかむ。

サスケが何も言わないので、カカシはふうとため息をついた。
振り返って見ると、サスケは10mほど離れたところに立っている。
何か怒っているような表情だ。
「何か用があったんじゃないの?」
「別に・・・」

本当に用事があったわけではなかった。
夕食の買い物に出たら、たまたまのんびり歩いてるカカシを見かけて、なんとなくついて来てしまったのだった。
声をかけるつもりはさらさらなく、かといって帰ってしまう気にもならず、カカシがどこかに入っていったら、帰ろうと思っていた。
けれどカカシはどこにも立ち寄らず、ただのんびりと歩きつづけて、今に至る。

カカシの方はもっと早くからサスケに気がついていた。
なかなかうまく気配を消していたが、時折迷っているような気配が伝わってきた。
何か言ってくるか、またはしてくるのを待って少し遠回りをしてみたが、
結局何もないままに家の近くまで来てしまった。

たまたまついてきただけというにはついてきた時間が長すぎたし、今更用事なんか思い浮かばず、そのまま何も言わずに回れ右をして引き返すこともできず。

サスケは、どうしたらいいかわからずに、黙って、うつむく。

「うち、この近くなんだけど、寄ってくか?」

カカシは助け舟を出すことにして、言った。
サスケが困っているのがよくわかって、ちょっとかわいそうになったから。

「・・・あんたのうち?」
やっとサスケがカカシの顔を見て言う。

「そう。お茶ぐらいごちそうするから」

そう言うと、前を向いてさっさと歩き始める。
返事を待っていたら、きっと、やっぱり帰ってしまうから。
かといって強引に連れて行くわけにもいかないし。
そんなことをしようとしたら、きっと逃げてしまうだろう。

 

+++

 

カカシの予想通り、サスケは困惑しながら10mの距離を保ってついてきた。

家の鍵を開け、ドアを開けてサスケを待つ。

サスケは一瞬立ち止まりそうになったが、カカシのそばまでやってきた。

「どーぞ」

サスケを先に家の中に入らせ、後ろ手にドアを閉める。
さほど広くない玄関で体が触れる。
サスケは諦めたように、「・・・おじゃまします」と靴を脱いだ。

カカシも続いて靴を脱ぎ、「その辺に座ってて」とサスケに言い、自分はお湯を沸かすため台所に入った。

台所に入るカカシを見てから、サスケは居間らしき部屋の中を見まわす。
それまでカカシの私生活など想像したこともなかったので、この部屋がカカシらしいのからしくないのか、よくわからない。
でも、ほどほどに片付いて、ほどほどに散らかっていて、居心地の良さそうな部屋だと感じた。

部屋に入ると、日当たりがいいのか温かく、乾いた草のような匂いがして、ほっと息をつく。
初めて入る部屋なのになんだか安心すると思いながら、床に座る。
テーブルの上にある巻物を見るでもなく眺め、家でこんなの見てるのか、とちょっと意外に思ったりする。

意外といえば、ここにいる自分も。

来ようなんて思ったわけではないのに、今こうしてカカシの家にいるなんて。
不思議な感じがした。

台所の方からシュンシュンとお湯が沸く音がしてくる。
他の物音はなく、時折外から鳥の鳴き声が聞こえてくるだけ。
どこか家の中にいるはずのカカシの気配も感じず。
サスケは、まるでひとりで家の中にいるような錯覚を起こした。

長いとも短いともつかない時間を、何を見るでもなくぼんやりと過ごす。
ずっと前から知っているような気のする空間。
懐かしいような温かい雰囲気にひたる。

カカシは居間に入ろうとして足を止めた。

サスケの、珍しくくつろいでいるような後ろ姿。
こんなこともあるんだなぁと、少し意外に、でもけっこううれしく思って、なるべく驚かさないようにと声をかける。

「おまたせ〜」

サスケはその声に肩を震わせて振り向き、「・・・ああ」と答えた。
それから「気配を消して近寄るな」と少しふてくされたように言う。

ぼんやりしているところを見られたのが恥ずかしかったのだろうかと思いつつ、日々是修行、などと言ってみる。

テーブルを挟んでサスケの向かいに座り、急須から湯のみにお湯を注ぐと、ほんのりといい香りがたちこめる。
「ハイ、特製ブレンド茶」
そう言って湯のみのひとつをサスケの前に置くと、律儀に「いただきます」と返事が返ってきた。

それを聞いて、思わず頭を撫でてしまいそうになったがやめておく。

せっかくまたくつろいだ様子になってきているのに、そんなことをしたら、毛を逆立てて逃げてしまいそうだ。
頭を撫でる代わりにくすっと笑いを洩らし、自慢のお茶に口をつけるサスケを見る。

お茶は、やはり乾いた草の匂いと、甘い花の香りと、りんごの香りと、木の香りと・・・、いろいろな香りが混ざってどこか懐かしい味がした。
湯気が顔に温かく、そのままじっとしてみる。

そんなサスケを見て、カカシが「気に入った?」と聞くと、声には出さずにコクンと頷いて、また口をつける。

ほわ〜と頬を上気させて何も言わずにお茶を飲むサスケは、珍しく歳相応の子どもらしい顔をしていて。
それを見るカカシも、また珍しく優しい顔でお茶をすする。

 

+++

 

帰り際、靴をはきながら、サスケが「お茶、おいしかった」と言葉少なげに言う。

喜んでもらえたらしいのが、自分自身の予想以上にうれしく、自然と優しい声がでる。

「あんなでよかったら、いつでもどうぞ」

サスケはそれに一瞬ためらった後、頷いて出ていった。

結局、何でカカシをつけたのか、何でサスケにつけられたのかはわからないままだった。
なんでカカシの家でお茶を飲むことになったのかもよくわからなかったが、それはそれとして悪くない時間だったと2人は思った。

カカシは湯のみを片付けながら。

サスケは家に向かって歩きながら。

 

 

 

END

2000/07/27

いや〜、なんて難しいんでしょう。このお2人は。
全然思うようにいちゃついてくれません。

それよりも、文章ダメすぎでした。
もー主語ごちゃ混ぜで、読みにくいことこのうえありません。
読んで下さった心優しい方、どうもありがとうございます・・・。そしてすみません・・・。

 

>>>BACK